本記事は国税庁・全国健康保険協会・厚生労働省の公表資料に基づく一般的な情報の整理であり、個別の税務・社会保険の相談ではありません。個別のご質問にはお答えしていません。実際の天引き額は勤務先の給与計算で決まります。ご自身の判断の前に、勤務先の給与担当または税務署・税理士にご確認ください。

冬の賞与の明細に並ぶ控除は、社会保険料の4種類と所得税です。どれも率が公表されているので、賞与の額が決まれば、手取りの目安は計算できます。

この記事では、賞与30万円・50万円・80万円を受け取った人の手取りを、令和8年度の料率の表と、国税庁の算出率の表で計算しました。対象は2026年(令和8年)中に支給される賞与です。国税庁のタックスアンサーNo.2523「賞与に対する源泉徴収」が、「令和9年分以後の『算出率の表』や『月額表』は改正されています」と注記しているので、2027年の賞与には使えません。

引かれる4つの保険料

全国健康保険協会(協会けんぽ)の東京支部の令和8年度保険料額表に、賞与にかかる保険料の決め方があります。賞与額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に、保険料率をかけます。労使で折半した、本人の負担分は次のとおりです。

保険料 率(全額) 本人の負担 出どころ
健康保険(東京支部・介護保険の対象外) 9.85% 4.925% 協会けんぽ 令和8年度保険料額表
子ども・子育て支援金 0.23% 0.115% 同上(令和8年4月分から)
厚生年金保険 18.300% 9.15% 同上
雇用保険(一般の事業) 13.5/1,000(うち労働者負担 5/1,000) 0.5% 厚生労働省 令和8年度雇用保険料率のご案内

雇用保険料は、賞与を含む賃金総額に率をかけて計算します(厚生労働省の大阪労働局は、賞与50万円を含む賃金総額350万円で、事業主が納める労働保険料の計算例を載せています)。本人の負担を合計すると、賞与の14.69%です。40歳以上になると、介護保険料率が加わります。協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに違い、上の表は、東京支部の率です。

標準賞与額には、上限があります。健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金は年度(4月1日から翌年3月31日)の累計で573万円、厚生年金保険は1か月につき150万円。この記事の賞与は、どれも上限の手前です。

所得税は、賞与ではなく前月の給与で率が決まる

賞与から引かれる所得税は、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」で決まります。使い方は、タックスアンサーNo.2523にあります。

  1. 前月の給与から社会保険料等を引いた金額を出す
  2. 扶養控除等申告書に書いた扶養親族等の数と、その金額で表の行を探す
  3. 行と「賞与の金額に乗ずべき率」の交わる率を、賞与から社会保険料等を引いた金額にかける

賞与の額が大きくても、率は賞与の額では決まらず、前月の給与(社会保険料等控除後)が基準になります。扶養親族等0人の甲欄では、前月の給与が94,000円以上260,000円未満なら4.084%、260,000円以上309,000円未満なら6.126%。この表の率には復興特別所得税が含まれ、計算の結果の1円未満は切り捨てます(No.2523の具体例の注記)。

扶養控除等申告書を出していない場合は、乙欄を使い、率が別になります。賞与の額が前月の給与の10倍を超える場合や、前月に給与がない場合も、この表では計算しません(算出率の表の備考)。

賞与30万円・50万円・80万円の手取り

前提は、東京支部の協会けんぽ・40歳未満・扶養親族等0人(甲欄)・社会保険料率は令和8年度の表のとおりです。前月の給与(社会保険料等控除後)は、20万円の場合と30万円の場合を並べました。

賞与 社会保険料の合計 前月の給与20万円 所得税(率4.084%) 手取り 前月の給与30万円 所得税(率6.126%) 手取り
300,000円 44,070円 10,452円 245,478円 15,678円 240,252円
500,000円 73,450円 17,420円 409,130円 26,130円 400,420円
800,000円 117,520円 27,872円 654,608円 41,808円 640,672円

賞与50万円の社会保険料73,450円の内訳は、健康保険24,625円、子ども・子育て支援金575円、厚生年金保険45,750円、雇用保険2,500円。所得税は、50万円から73,450円を引いた426,550円に、率をかけています。前月の給与が20万円の人は426,550円×4.084%=17,420円(1円未満切捨て)です。

どの行でも、引かれる額の大きい側は社会保険料です。賞与50万円で、社会保険料は73,450円、所得税は17,420円か26,130円。同じ賞与でも前月の給与が高い人のほうが所得税の率が高く、手取りは約8,700円少なくなります。

賞与で引かれた所得税は、12月の年末調整で動くことがある

賞与から引かれた所得税は、その年の税の前払いです。令和8年分は基礎控除や給与所得控除が引き上げられたため、国税庁の「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」は、12月の年末調整で引上げ後の控除額による1年分の税額を計算し、改正前の税額表で計算した源泉徴収税額と精算すると書いています(p.2)。

12月に賞与が出る人の所得税は、賞与の源泉徴収と年末調整の両方で動きます。年末調整のしくみは、学生の年末調整2026に書きました。計算ページには学生の「年収の壁」2026年分があり、賞与を含む1年の給与の合計を入れると、税と社会保険の線の位置が分かります。

計算の前提と、この記事に入っていないもの

入れていないものは3つあります。1つめは住民税で、この記事の計算には含めていません。2つめは労働組合費や財形貯蓄などの、会社ごとの天引き。3つめは賞与のほかの収入です。

保険料の率は、年度が変わると改定されることがあります。協会けんぽの健康保険料率は3月分から、雇用保険料率は4月から変わることがあるため、2027年の賞与には新しい表を使ってください。この記事は、公表された表に数字を入れた結果を並べたもので、手取りがいくらであるべきかは扱っていません。


出典(いずれも2026年10月10日確認)

全国健康保険協会「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」PDF(健康保険料率9.85%・子ども・子育て支援金率0.23%・厚生年金保険料率18.300%・賞与に係る保険料額・標準賞与額の上限・折半額の端数処理) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/assets/R8_13tokyo.pdf

厚生労働省(愛媛労働局掲載)「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」PDF(一般の事業の労働者負担5/1,000) https://jsite.mhlw.go.jp/ehime-roudoukyoku/content/contents/002602395.pdf

国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)」PDF 15〜16ページ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/data/15-16.pdf

厚生労働省 大阪労働局「労働保険料の計算例」(賃金総額に賞与を含める例) https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudou_hoken/hourei_seido/gaku.html

国税庁 タックスアンサー No.2523「賞与に対する源泉徴収」(計算方法・1円未満の端数切捨て・令和9年分以後は改正済みの注記) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2523.htm

国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」PDF(令和8年分の年末調整での精算) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf


本記事は2026年10月10日時点の公表情報に基づきます。税務相談は税務署の相談窓口または税理士へ(税理士法2条・52条により、他人の求めに応じて税額の計算などの相談に応じることを業として行えるのは、無償の場合も、税理士と税理士法人に限られます)。詳細は免責事項をご覧ください。