AIに投資判断を任せるのは危険か — 実弾で運用して分かったAIの得意・不得意と安全装置の作り方
「AIに投資を任せるのは危険?」という問いには、実際に任せている人間として答える資格が多少あると思います。私はAI(Claude)に自動売買システムの設計・実装・運用を丸投げして、実弾で回しています。結論を先に言うと、任せ方を間違えると危険で、間違えなければ人間の裁量より事故りにくい、です。
先に誤解を解く: AIは未来を予測しない
「AIが相場を予測して爆益」というイメージがまず誤解です。うちのAIは開幕でこう言いました。「必ず勝てるツールは存在しません」。AIだろうが人間だろうが、明日の価格は分かりません。うちのシステムがやっているのは予測ではなく、移動平均線ベースの機械的なルールを、毎日同じ時刻に、感情ゼロで実行することです。知能の見せ場は売買の瞬間ではなく、設計と検証の段階にあります。
AIが人間より得意だったこと
1. ルールを守ること。 人間は「今回だけは」をやります。AIはやりません。下落が続いても、ルールが「待て」なら永遠に待ちます。実際うちのシステムは稼働から数週間「今は買う場面ではない」と現金待機を続けました。人間の私なら退屈に負けて何か買っていたと思います。
2. 検証の物量。 過去データでの検証、異常系のテスト、エラー処理の網羅。うちのシステムのテストは数十件ありますが、私は1件も書いていません。人間がサボる部分を、AIはサボりません。
3. 自分への攻撃。 「このシステムの弱点を全部挙げろ」と指示すると、AIは自分のコードを敵対的にレビューします。これで実弾投入前に、初日に全財産を投げ売りするはずだった致命的バグが見つかりました(経緯はこの記事)。
AIに任せると危険なこと
1. 数字の暗算と「それっぽい断言」。 AIは自信満々に間違えることがあります(ハルシネーション)。対策は、重要な数字を会話ではなくコードとテストで強制すること。「1回の発注は◯円まで」は、AIの記憶ではなくプログラムの条件文に書かせます。
2. 権限の渡しすぎ。 APIキーに出金権限を付けてAIツールに渡すのは、通帳と印鑑を渡すのと同じです。うちは参照と取引のみ、出金権限なし。さらに損失が閾値を超えたら自動停止するキルスイッチをコードに焼き込ませ、AI自身にも変更禁止を課しています。AIは意外なほど素直に自分を縛ります。
3. 「AI運用で儲かる」系の商品を買うこと。 AIに任せることと、「AIが運用します」と宣伝する商品にお金を払うことは全然違います。後者には無登録の投資助言・運用まがいの違法業者が混ざっています。この記事で書いているのは、自分の口座で自分のボットを動かす話だけです。
危険かどうかは「撤退条件を先に決めたか」で決まる
振り返ると、安全性を作ったのは高度な技術ではなく、最初に固定した3つの約束でした。
- 投資額は全損しても生活に影響しない額だけ(私は月1万円)
- リスク上限は数字でコードに固定し、後から動かさない
- 検証に合格するまで実弾を入れない
この3つを守るなら、AIに任せる危険は「人間が自分でやる危険」より小さいというのが、いま実弾で確認していることです。成績は毎日ここで公開しているので、この主張が正しいかは数字で確認できます。
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