本記事は国税庁・財務省・金融庁の公表資料に基づく一般的な情報の整理であり、個別の税務相談・税額計算・申告内容の助言ではありません。ご自身の申告については税務署または税理士にご相談ください。制度は改正されます。必ず最新の公式ページをご確認ください。

「仮想通貨の税金が20%になる」というニュースを見て、「もうなったの?いつから?」と検索すると、「2027年から」「2028年1月から確定」など食い違う情報が出てきます。結論を先に言うと、2026年8月時点で、暗号資産の利益はまだ雑所得・総合課税です。そして20%が始まる日付は、まだ確定していません。この記事は解釈や予想ではなく、一次情報(財務省の大綱の原文と法律の公布状況)だけでどこまで言えるかを整理したものです。

結論: 2026年分の利益は、まだ雑所得・総合課税

現行制度では、暗号資産取引の利益は原則として雑所得で、給与などと合算して課税されます(総合課税。出典: 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて」、令和7年12月1日現在)。「もう20%で申告できる」は誤りです。

「20%になる」の中身 — 大綱の原文を確認する

令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)には、こう書かれています。

居住者等が、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る。以下「特定暗号資産」という。)の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税する。

ポイントは3つあります。

  • 対象は「特定暗号資産」— 登録業者で扱われる暗号資産を、登録業者に対して譲渡等した場合の話
  • 損失は翌年以後3年間の繰越控除が可能になる(現行の雑所得では、損失は他の所得と通算できず、繰越もできません)
  • 業者が取引者の情報を記載した報告書を税務署へ提出する仕組みもセット

適用開始日は「カレンダーの日付」で決まっていない

多くの記事が見落としている(または誤読している)のがここです。大綱の注記の原文:

(注1)上記の改正は、金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日(以下「適用開始日」という。)以後に行う特定暗号資産の譲渡等について適用する。

つまり「2027年から」「2028年から」というカレンダー日付が書いてあるのではなく、金商法改正法がいつ施行されるかに連動する設計です。

では金商法改正法はどこまで進んでいるのか

参議院の議案情報で確認できる事実:

項目 日付
法案提出 2026年4月10日
成立 2026年7月15日
公布 2026年7月23日(令和8年法律第64号)

そして金融庁の政令公布のお知らせによると、2026年8月12日に施行されたのは「無登録業への罰則引上げ」「証券取引等監視委員会の犯則調査権限の追加」の2項目だけ。暗号資産を金商法に移管する本体部分の施行日は、この記事の執筆時点(2026年8月22日)で公表を確認できていません(政令で今後定められるとみられます)。

いま確実に言えること・言えないこと

言えること:

  • 2026年分(今年の利益)は雑所得・総合課税で申告する
  • 20%分離課税+3年繰越の制度は決まっている(大綱に明記)
  • 開始日は「金商法改正法の本体施行の翌年1月1日」

言えないこと:

  • 「2027年から20%」「2028年1月1日から確定」— 報道では2028年1月1日からの適用が有力視されていますが、施行日の政令が出ていない以上、確定ではありません

このブログでは施行日の政令が公表されたら、この記事を更新します(更新日は記事末尾に記載)。

2026-08-31追記: 金融庁が公表した令和9(2027)年度の税制改正要望に、暗号資産の分離課税は載っていません。方向決定済みで「要望」の段階を卒業したためで、上の整理(決定済み・施行日待ち)と整合します。要望の中身は別記事で原文から読みました。

決まったら何が変わるか

  • 税率が最大55%(総合課税)→ 一律20.315%相当の世界へ
  • 損失の3年繰越が可能に
  • 所得区分が雑所得から譲渡所得等へ
  • 取引業者から税務署への報告制度が始まる(=取引の把握が制度化される)

なお、私は月1万円をAIに任せた自動売買で運用しており(実データを毎日公開しています)、この規模だと税制がどちらでも当面の申告義務ラインの方が重要です。学生・少額勢の具体的な数字の話は別記事で整理します。

計算ページ: 仮想通貨の利益で税金はいくら増えるか(給与+雑所得・2026年分の所得税と住民税を分けて表示)


本記事は2026年8月22日時点の公表情報に基づく一般的な情報の整理であり、税務相談ではありません。個別の申告はお近くの税務署(国税庁の相談窓口)または税理士へ。投資助言でもありません。詳細は免責事項をご覧ください。